私は(ビジネス以外の)カフェといえばスタバ一択だ。手渡される394円の「本日のコーヒー」には、温かい笑顔と挨拶が添えられている。経営コンサルタントの性分か、注文から会計までのわずかな合間に「そのバッジの意味は?」「(本日のコーヒー)2種類のうちおすすめは?」「笑顔がいいね!」「この店凄い人気があるね」などと声を掛けてしまうが、返ってくる機転の利いたやり取りには毎回感心させられる。
一方、現代の流通・小売現場では過度な省人化が進む。食品スーパーで数千円買ってもセルフレジ、ユニクロも精算は無人機任せだ。そこに立つ店員といえば、お客様をもてなすどころか万引きされないかの監視役にすぎない。客に疑いの目を向け、丁寧に一人一人に「ありがとうございました」も交わさない職場で、本当の顧客志向を持つ人材が育つのか強い疑問が残る。
だからこそスタバの価値が際立つ。ある経営者も「スタバで長く働いた経験は就活で大きな武器になる」と語っていた。昭和期にはマクドナルド出身者が引く手あまただった構図と同じだ。しかし今やそのマクドナルドさえ注文パネルが普及し、人と人とのやり取りが薄れつつある。そんな時代にあって、都内のスタバの募集には山ほどの応募者が押し寄せる。「人手不足」を嘆く業界の声など、魅力ある現場づくりを怠った負け組の遠吠えにすぎない。
日本のサービス業は猛省すべきだ。AIやロボットの時代だからこそ作業を徹底して合理化し、浮いた力で最高峰の接客を磨くべきだ。最後に選ばれるのは、画面ではなく人の温もりである。
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