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一 遼(にのまえ りょう)
100年人生を劇的に好転させる”科学的知識”源
米10年債利回り5%定着の危機——財務省バイバックの限界とドル体制の脆弱性
米国の長期金利が危険水準に達している。米10年債利回りは2020年4月の0.7%から直近では5.1%台へと急上昇し、30年債利回りは5.4%台を記録している。額面1万ドル(1ドル=150円換算で約150万円)の10年債であれば年間利息は約7.7万円(ドル建て約510ドル)相当に達する高利回りである一方、債券価格の下落(含み損)リスクは深刻化している。ベッセント財務長官は金利抑制に向け、財務省による長期国債のバイバック(買い戻し)を1回あたり60億〜90億ドル(約9,000億〜1兆3,500億円)、計4回で240億〜360億ドル(約3.6兆〜5.4兆円)規模で実施している。しかし、市場に渦巻く国債売り圧力は極めて強く、金利の上昇トレンドを抑え込めていない。 このバイバックは、短期国債(2年債以下)の発行によって資金を調達し、利回りが跳ね上がった長期債を買い戻す異例の金融オペレーションである。しかし、FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を高水準に維持または引き上げる局面では、短期債の調達コストが跳ね上がるため、バイバックによる金利抑制効果は相殺されてしまう。 財務省がこのような異例の手を打つ背景には、40兆ドル(約6,000兆円)規模に膨らんだ既発国債の価格急落と、それに伴う国家の資金調達難への強い危機感がある。長期金利の5%台定着は利払い費用の爆発的増大を意味し、米国の財政および負債管理が構造的危機に直面している証左にほかならない。 この緊迫した状況に対し、トランプ前大統領は国際金融の基本原則を度外視し、「FRBは政策金利を1%まで引き下げろ」と強弁を繰り返している。だが、仮にこの主張通り金利を1%まで急低下させれば、債券市場は破滅的な結末を迎える。米国の対外負債依存体質を踏まえれば、他国市場を下回るような低金利設定は不可能である。利回りの妙味を失った日本の機関投資家をはじめとする海外勢は米国債の買い入れを停止し、保有する既発債を一斉に投げ売るため、激しい資金流出(キャピタル・フライト)と債券価格の暴落を招く。 米国が巨額の財政赤字と経常赤字を維持できるのは、海外マネーを惹きつける十分な利回りを提供しているからである。海外からの投資を維持・促進するためには、米国債の金利水準は他国より高位に保たれねばならない。バイバックという対症療法が限界を迎えつつあるなか、安易な大幅利下げを迫る主張は、米国の信用力とドルの基軸通貨体制そのものを根底から揺るがす極めて危険な賭けである。 【専門書を10冊読むより、AIの10秒。 知識ゼロから最短ルートで構築する「ブレない黄金ポートフォリオ」】
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