いつもの公園のベンチ。軽く汗をかいた首筋に、爽やかな風が通り抜けていく。 50代に入ってから始めた毎日の散歩トレーニングも、今や生活のルーティンだ。息を整えながら、男はゆっくりと梅雨明けの空を仰ぎ見た。雲ひとつない高い青空が、どこまでも広がっている。
「100歳、か……」
ふと、そんな数字が頭をよぎる。昔は果てしなく遠かった人生のゴールテープが、この歳になると、うっすらとだが確実に視界に入ってくる。
若い頃、それこそ20代や30代の恋愛なんて、もっとシンプルで、もっと無鉄砲だった。特に男なんて生き物は、理屈抜きの「気持ち」だけで突っ走れたものだ。条件なんて二の次、三の次。ただ好きだから、一緒にいたい。それだけで世界が回っていた。
しかし、今は違う。
良くも悪くも、自分の人生のカタチはもう固まってしまった。そしてそれは、これから出会うかもしれない相手の女性だって同じことだ。お互いに背負っているものが多すぎる。 ある人はシングルマザーとして必死に子供を育て上げ、ある人は親の介護に直面し、ある人は子供を授かるタイムリミットの壁に直面し、ある人はキャリアの崖っぷちで戦い、またある人は体調に不安を抱えている。
「こんな条件だらけの男なら、いっそ結婚もしない方がマシなのかもしれないな……」
男は自嘲気味に呟き、持参の水筒の冷えた水で喉の渇きを癒した。
自分には資産もある。健康もある。それは他の誰でもない、自分自身がプロフェッショナルとして第一線で戦い、必死に築き上げてきた揺るぎない自信そのものだ。だからこそ、守るべき「これまで」がある。曲がりなりにも手にしてきた財産があり、独立した実子がいる。そうなれば当然、泥臭い相続問題や財産の生前整理といった現実が、嫌でも頭をかすめる。
だが、そんなソロバンを弾くような思考が頭をもたげるたび、胸の奥が冷めていくのを感じるのも事実だった。 「こんな条件ありきの恋なら、最初からしなくてもいいんじゃないか?」
恋愛に対する強い憧れやモチベーションがなければ、この歳での情熱なんて、あっという間に日々のルーティンの中に埋もれて消えてしまう。 ふと、自分のこれまでの恋愛歴を振り返ってみる。傷ついたこと、不器用だったこと、そのすべてが今の自分の「経験値」として血肉になっている。だからこそ、見えてしまうものがある。
男には、自分の中で一つ、譲れない頑なな基準があった。 『50歳を過ぎて、一度も結婚(あるいはそれに準ずる深い共同生活)を経験していない人は、恋愛対象には選べない』
偏見かもしれない。だが、そこには明確な理由がある。誰かのために自分の人生を差し出す、つまり「他人のために生きる」という濃密な時間を過ごしたことがない人間は、この年齢になるとどこか決定的に噛み合わないのだ。これもまた、自分が相手に課してしまう厳しい「条件」の一つだった。
――条件、条件、条件。 気づけば頭の中は、現実的な縛りばかりで満たされている。
「……でもさ」
男はもう一度、深く息を吸い込み、陽光に灼(や)かれた、どこまでも高い夏空を見つめた。 もし、この先にする恋愛が「家族(子供)を作るため」のものでないのだとしたら。子孫を残すという生物的なタイムリミットから解放されているのだとしたら。
だったら、そんなに急ぐ必要なんてないんじゃないか。
100歳のゴールを迎えるその瞬間までに、人生の最期の1ページを一緒に笑ってめくれるような、そんな誰かに出会えれば、それでいいのかもしれない。条件の壁をいつの間にか飛び越えてしまうような、そんな奇跡みたいな出会いが、これからの人生のどこかにひとつくらい、残っていてもバチは当たらないだろう。
「よし、行くか」
水筒をバッグに収め、男はベンチから立ち上がった。 少し軽くなった足取りで、再び青空の下、歩き始める。100歳までの道のりは、まだだ、先だ。
『経済の自由と、揺るぎない身体。人生を勝ち切るための、週一回の知性』
どんなに資産を増やしても、動ける身体がなければ楽しめない。 どんなに健康でも、経済的な不安があれば挑戦できない。
私たちが目指すのは、そのどちらも妥協しない「真の自由」です。 科学的知識に基づいた健康法と、AI時代を生き抜く資産戦略。2つの資本を同時に鍛え上げる最適解を、月額499円のワンコインであなたの元へ直接届けます。
▼ 毎週、濃密な知恵をダイレクトに配信【メルマガ】
https://mag2.com/m/0001699415
▼ アーカイブと共に、より実践的な学びを【note定期購読】
https://note.com/ninomaeryou/m/me6a4ec3cdd31
#人生
#恋愛
#家族
#婚活
#出会
#恋活
#人生100年時代
#条件
#事実婚