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投資家 | 金融ライター
FOMCタカ派据え置きで米株急落、AI投資懸念と地政学リスクが重石となり東京市場は軟調推移へ
⸻ ◆FOMCは5会合連続で金利据え置きもタカ派的な反対票が浮上 米連邦準備理事会(FRB)は28〜29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.50〜3.75%に据え置くことを決定した。据え置きは5会合連続となる。しかし全会一致ではなく、委員12人のうち地区連銀総裁3人が0.25%ポイントの利上げを主張し反対票を投じた。9対3の票決は想定以上のタカ派的シグナルと受け止められている。ウォーシュFRB議長は会見で詳細なフォワードガイダンスの提示を見送り、データ依存の姿勢を強調した。カーソン・グループのライアン・デトリック氏は「FRBは現状を維持したが、問題は9月会合でどれだけの利上げ圧力がかかるかだ」と指摘。原油価格急騰を背景にインフレ高止まりが警戒されるなか、市場では次回の追加利上げを意識する動きが広がる。為替市場では目先の金利据え置きが意識され、主要通貨に対するドル指数は0.3%低下の101.07となり、ドル全面安となった。 ◆米株式市場は大幅安、AI関連投資の収益性への懸念が顕在化 29日の米国株式市場では主要株価指数が軒並み下落した。指標のS&P総合500種は1カ月ぶりの安値を付け、工業が3.24%安となるなど11業種中8業種が下落。とりわけハイテク株中心のナスダック総合指数の下落が目立ち、6月の最高値からの下落率は約9%、ナスダック100指数も最高値から11%沈んだ。市場を下押しした最大の要因は、主要テクノロジー企業による人工知能(AI)関連の巨額な設備投資に対する警戒感だ。ウォーシュ議長はAIへの支出が将来の成長基盤を築いていると評価したが、市場はフリーキャッシュフローを犠牲にした多額の投資が収益に転換する時期を厳しく見極めようとしている。引け後に決算を発表したメタ・プラットフォームズは、2026年通期の設備投資見通しの下限を引き上げたことが嫌気され時間外取引で下落。対照的にマイクロソフトはクラウド事業の売上高の伸びが予想を上回り時間外で上昇しており、投資家による選別が進行している。 ◆半導体セクターにおける投資妙味の後退と激化する開発競争 AIインフラの中核を担う半導体関連株への売り圧力は一段と強まっている。29日の市場では、四半期売上高が予想を下回った関連企業バーティブが17%急落した。韓国のSKハイニックスも四半期利益が前年同期比で6倍に急増する好決算を発表したが、高く設定されていた市場の期待水準には届かず売りが優勢となった。半導体関連銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体指数(SOX)も大幅に下落しており、この流れは30日の東京市場やアジア市場にも波及し、同セクターには5%を超える下落圧力がかかると見込まれる。国内でもキオクシアホールディングスの株価が6月の上場来高値から短期間で水準を切り下げて続落するなど調整の波が及んでいる。こうした心理悪化の背景には、中国企業がより安価なAIモデルを相次ぎ市場に投入し、先端半導体を巡る開発競争が激化しているとの観測がある。競争激化による利益率低下リスクが意識され、セクター全体のバリュエーションを見直す動きが広がっている。 ◆中東の地政学リスクと熊本での地震がサプライチェーンに暗雲 マクロ経済の不確実性に加え、緊迫化する地政学リスクと自然災害が市場の新たな重石となっている。中東情勢を巡っては、ヨルダンにある米軍基地が攻撃を受けた事態に対し、トランプ米大統領がイランへの厳しい報復措置を講じる方針を表明した。これを受けて原油先物価格は上昇基調を一段と強め、米国の長期・超長期金利の継続的な上昇圧力を招いている。地政学リスクとインフレ動向は密接に絡み合っており、原油高に起因するインフレ懸念の再燃は景気敏感株の上値を重くする要因となっている。さらに国内では、28日に熊本県で最大震度7を観測する地震が発生し、同地域に集積する半導体工場や自動車関連施設のサプライチェーンに対する深刻な影響が懸念されている。設備の稼働状況や物流網の被害全容が判明するまでは、関連銘柄に対する新たな投資判断を慎重に見送る姿勢が広がっている。物理的な供給網リスクは、市場のボラティリティを押し上げている。 ◆円相場の動向と日銀の金融政策決定会合に向けた市場の警戒 外国為替市場において、ドル円相場は0.3%安の1ドル163.35円近辺で推移しているものの、依然として40年ぶりの高値圏から大きく離れていない水準に留まっている。日本の通貨当局による直接的な為替介入への警戒感が根強く残るなか、市場参加者の最大の焦点は31日まで開催されている日銀の金融政策決定会合の結果に集まる。大方の予測では現行の政策金利が据え置かれると見込まれているが、日銀が声明や植田和男総裁の記者会見を通じてタカ派的な情報発信を行い、追加利上げに向けた布石を打つとの観測も浮上している。スコシアバンクのショーン・オズボーン氏は、日銀がタカ派的な据え置きを実施し、短期金利市場で12月までの利上げ幅の織り込みがさらに積み増される場合、国内の金融政策要因を契機とした急激な円高への反転リスクが存在すると指摘する。このスタンス次第では輸出関連株を中心に日本株全体のトレンドが左右される。一方、暗号資産市場ではビットコインが約1%高で推移している。 ●複合的リスク下での東京市場の展望と投資家のポジション調整 30日の東京株式市場における日経平均株価は、これらの外部環境の悪化を複合的に織り込み、軟調な推移が想定されている。予想レンジは6万500円から6万2000円に設定され、前日の米国市場における半導体株安を嫌気した売りが先行する公算が大きい。いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は、米国ダウの下落は原油高の影響であり、AI株から景気敏感株へシフトしていた資金がいったんポジション調整に向かっているとの見方を示した。日経平均とTOPIXの間では、値がさの半導体関連株の比重が大きい前者の下落が目立つ一方で、内需関連株を多く含む後者は相対的に底堅い推移を見せるという乖離が生じている。さらに韓国のKOSPIも大幅な下落が続き、レバレッジ型ETFへの投資規制強化に伴う個人投資家のポジション整理が相場の重石となっている。決算や米国の重要指標発表が相次ぐなか、投資家は金融政策、AI投資の実力、地政学リスク、災害リスクという四重の不確実性を前に慎重なリスク管理を余儀なくされている。 ⸻ ★note:https://note.com/woven_planet #FOMC #半導体 #原油 #日銀 #地政学 #地震
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