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投資家 | 金融ライター
米株最高値更新、AI決算と中東リスク後退が好感され東京市場も続伸へ
⸻ ◆米株主要指数が最高値更新、原油安で利上げ観測後退  4日の米国株式市場は大幅に続伸し、ダウ工業株30種平均とS&P総合500種株価指数が終値で過去最高値を更新した。相場を牽引したのは、人工知能(AI)関連企業の好決算と、米イラン間の紛争を巡る外交的解決への期待感である。中東情勢の緊張緩和見通しを受けて原油価格が約5%急落したことで、市場にくすぶっていたインフレ懸念が和らぎ、米連邦準備理事会(FRB)による9月会合での利上げ観測が後退した。米国債利回りも低下し、金利動向に敏感なハイテク銘柄を中心に幅広いセクターに買いが波及した。個別ではマクドナルドやファイザーなどの大型株も堅調に推移し、ニューヨーク証券取引所およびナスダック市場では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を圧倒した。米取引所の合算出来高は188億9000万株に達し、直近20日平均の173億3000万株を上回る活況となった。 ◆AI関連投資の実需拡大と半導体株への波及 個別銘柄の動向では、AI関連需要の裾野の広さを示す決算が相次ぎ、市場の好感を集めた。データ分析大手のパランティア・テクノロジーズは、AIソフトウェアの商業需要が予想を上回るペースで拡大していることを背景に通期売上高見通しを引き上げ、株価が29.5%急伸して2024年2月以来の大幅な上昇率を記録した。また、建設機械大手のキャタピラーも5.6%上昇しダウ平均を押し上げた。AIデータセンターの建設ラッシュに伴い、発電設備や重機の需要が増加していることが通期売上高見通しの上方修正につながった。この流れを受け、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は6.6%高と4営業日続伸を記録している。7月に20.6%下落して調整局面を迎えていた半導体関連株に対し、値ごろ感を意識した買いが入った。一方、上場後初の決算発表を控えた宇宙開発企業のスペースXは通常取引で9.4%高と急伸したが、決算発表後の時間外取引では実際の収益内容を見極めようとする利益確定売りに押されて約4%下落している。 ◆地政学リスクの緩和と金融政策見通しの変化 中東の地政学リスク後退は、株式市場とエネルギー市場の双方に多大な影響を与えた。カタール当局者が米国とイランの紛争解決に向けた外交的取り組みの継続を明らかにしたほか、ベセント米財務長官がホルムズ海峡の再開を巡り4日か5日にもイランと合意する可能性に言及した。これにより原油供給懸念が後退し、米WTI原油先物は1バレル75ドル台まで急落している。原油価格の下落はエネルギーコスト上昇を通じたインフレ圧力の緩和を直ちに意味するため、CMEフェドウオッチが示すFRBの9月利上げ確率は前日の67.2%から56.9%へと低下した。市場では、エネルギー価格の動向が今後の金融政策見通しに直結するとの認識が改めて強く共有されており、中東情勢の外交的推移が引き続き投資家心理を左右する要因として注視されている。 ◆東京市場の振り返りと本日の相場見通し 4日の東京株式市場では、日経平均株価が前営業日比607円74銭高の6万4565円27銭で取引を終えた。米ハイテク株の上昇を好感して寄り付きから幅広く買いが先行し、日中には一時2.4%(1550円)高となる場面があった。東京エレクトロンやアドバンテストといった指数寄与度の高いAI・半導体関連銘柄が大きく買われたほか、非鉄金属や電気機器セクターが堅調に推移した。5日の東京市場もこの良好な流れを引き継ぎ、買い先行でのスタートが見込まれている。日経平均の予想レンジは6万5000円から6万6000円に設定されており、米国市場でのSOX指数の大幅高や、原油安による投資家心理の抜本的な改善が相場を力強く支える見通しである。ドル円相場が157円台後半で落ち着いた動きを見せていることも、日本株にとっての大きな安心材料となっている。本日は国内でスズキ、日本郵船、ホンダ、資生堂の決算発表や日銀金融政策決定会合の議事要旨公表が予定され、海外では米国の7月ADP雇用統計およびISM非製造業景気指数の発表が控えている。 ◆市場参加者の見方と今後の焦点 市場参加者の間では、堅調な相場展開を評価する声と、一部の懸念を指摘する声が交錯している。東洋証券の大塚竜太氏は、米半導体株高、原油安に伴う地政学リスクの後退、円相場急変動の落ち着きという3つの好条件が重なっていると分析し、東京市場において幅広い銘柄への物色が波及するとの見方を示した。市場では、AIインフラを支えるハードウェアを熱管理技術、光通信ネットワーク機器、中核半導体、クラウド事業者という4つの層に分け、半導体からインフラ全般へ需要が拡大しているとの認識が広がっている。キオクシアホールディングスの業績拡大も関心を集めている。一方で、米クレセット・キャピタル・マネジメントのジャック・アブリン氏は、「一握りの好決算銘柄だけで株価指数の最高値更新が正当化されるかは不透明だ」と述べ、一部の巨大企業への依存度が高まる相場構造の持続性に慎重な姿勢を見せている。決算発表シーズンが本格化するなか、AI関連投資が各社の収益にどの程度貢献しているかを厳格に見極める動きが強まっている。 ●AIインフラの構造的拡大と市場の適正評価 現在の株式相場は、AIという次世代技術が単なるソフトウェアの枠を超え、社会基盤全体へとその影響力を拡張している歴史的な転換点にあることを示している。演算処理を担う半導体に留まらず、データセンターの基盤となる発電・送配電設備、通信網、建設機械に至るまで、AIインフラの構築に向けた巨大なサプライチェーンが急速に形成されつつある。このインフラ需要拡大が関連企業の業績を押し上げていることが、株価上昇の裏付けとなっている。同時に、中東の地政学リスク緩和に伴う原油安がマクロ経済の不確実性を低下させ、資本市場に適切な流動性とリスク許容度をもたらしている点も見逃せない要素である。市場参加者は現在、全体的な楽観論に傾斜しつつも、各企業の収益化の進捗を個別に冷静に分析する姿勢を保ち始めている。今後の市場動向においては、AIインフラ関連銘柄の業績持続性と、マクロ経済環境の変化がもたらす金融政策の行方が、株価の適正なバリュエーションを決定づける中核的な要素となる。 ⸻ ★note:https://note.com/woven_planet #AI #半導体 #原油 #決算 #日経平均 #米国株
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