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投資家 | 金融ライター
日米が28年ぶりの円買い協調介入を実施、東京市場は円高を嫌気し売り先行の見通し
⸻ ◆日米両政府が15年ぶりの協調介入で円安是正へ 日米両政府は3日、7月31日に外国為替市場で円買い・ドル売りの協調介入を実施したことを明らかにした。片山さつき財務相が同日午前に大臣談話を発表し、米財務省との連携による介入を正式に認めた。両国による為替の協調介入は東日本大震災後の2011年以来15年ぶりであり、円買いでの協調介入としては1998年のアジア通貨危機時以来、28年ぶりとなる。片山財務相は、過度な変動や無秩序な動きに対処するための措置であると説明し、今後の追加対応についても米国のベセント財務長官と緊密に連携し躊躇なく実施する姿勢を強調した。また、将来的な介入資金の調達手段として、米国債を直接売却せずにドル資金を確保できる米連邦準備理事会(FRB)の「FIMAレポ・ファシリティ」の活用を見込んでいることも明かした。ベセント財務長官も継続的な協調行動への参加に前向きな意向を示したほか、トランプ米大統領は世界経済の安定に寄与するとして今回の日本の円安是正措置を強く支持する声明を出している。 ◆外為市場は円急伸、投機筋のポジション調整が焦点 協調介入の実施を受けて外国為替市場では円高が急激に進行し、ドル/円相場は一時157円台まで急伸した。市場推計によれば、日本当局は7月30日にも単独で6.4兆円から9.6兆円規模の円買い介入を実施したとみられ、それに続く米当局の市場参入は市場参加者に強いサプライズをもたらした。米財務省はニューヨーク連邦準備銀行を通じて介入を行い、一部報道ではユーロ売り・円買いも行われたとされている。今週のドル/円相場の予想レンジは154円から160円と見込まれる。市場関係者の間では日米当局がさらなる協調行動に出る可能性が意識され、当面はドル買いポジションを取りにくくなるとの観測が広がっている。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータが示す通り、市場には投機筋による巨額の円売りポジションが蓄積されており、日米の介入を契機とした巻き戻しがどこまで加速するかが当面の最大の焦点となる。 ◆東京株式市場は輸出関連株が重しとなり売り先行 3日の東京株式市場において、日経平均株価は売り先行で取引を開始する見通しである。日米による協調介入を受けた急激な円高進行が輸出関連企業の業績に対する警戒感を引き起こし、相場全体の重しになると予想されている。また、前週末に日経平均が2500円近く上昇した反動による利益確定売りも出やすい地合いであり、本日の予想レンジは6万3000円から6万4000円に設定されている。市場の関心は決算発表を受けた個別銘柄の動向に集中している。特に、人工知能(AI)関連需要の拡大を背景に記録的な増益を発表した半導体メモリー大手のキオクシアホールディングスについては、前週末の急反発に続き、自社株買いや株式分割といった還元策の需給下支え効果が注視される。このほか、本日は三菱自動車工業や伊藤忠商事などの主要企業が決算発表を予定しており、好業績銘柄を選別する個別物色が中心の展開が見込まれる。 ◆米国株式市場は強気相場を維持もAI関連に選別色 前週末の米国株式市場では、主要3指数がそろって続伸した。S&P総合500種指数は2026年に入り9%超の上昇を記録し、企業業績の堅調な拡大を背景に強気相場の持続への期待が根強い。しかし、銘柄間での選別色は強まっている。アマゾン・ドット・コムが好決算を背景に急伸し投資家心理を支える一方で、クラウド事業の見通しを引き上げたマイクロソフトが2008年以来の大幅上昇を見せた。対照的に、決算が期待に届かなかったアップルや、キャッシュフロー減少が嫌気されたメタ・プラットフォームズは下落した。AI関連株の一部には過熱感への警戒があり、半導体株は7月を通して下落基調にある。今週は製薬大手イーライリリーや半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などS&P500構成企業の4分の1超が決算発表を控えており、マクロ要因と業績を睨んだ値固めの展開が予想される。 ◆米金融政策の不透明感と雇用統計への警戒感 米国の金融政策を巡っては、投資家の間に不透明感が漂っている。7月29日に終了した連邦公開市場委員会(FOMC)において、FRBは政策金利の据え置きを決定した。ウォーシュFRB議長はインフレ率を2%に引き下げる方針を改めて表明したが、12人の政策担当者のうち3人が利上げを主張して据え置きに反対票を投じており、FRB内部でのタカ派的な傾斜が浮き彫りとなった。直近の6月米個人消費支出(PCE)物価指数のコア指数が高止まりを示すなか、ウォーシュ議長が政策の事前発信を減らす方針を示唆したことで、市場は今後の経済指標への感応度を高めている。今週7日に発表される7月米雇用統計では、失業率が4.3%と予想されている。金融市場では9月の次回FOMCでの利上げ確率が約64%と織り込まれており、雇用指標が市場予想を上回った場合には追加利上げ観測が一段と強まる可能性がある。 ●各市場が直面する構造的な転換点と政策リスクの交錯 足元の金融市場は、歴史的な政策転換とマクロ経済の変曲点が複雑に交錯する局面に直面している。日米両政府による28年ぶりの円買い協調介入は、極端な金利差を背景に蓄積された投機的な円売りポジションに対する強力な牽制として機能し、為替市場の力学に劇的な変化をもたらした。一方で、介入の効果を持続させるためには両国のファンダメンタルズの構造的な変化が必要不可欠であるが、米国の金融政策は追加利上げを巡るFRB内の意見対立により先行きが見通しにくい状況にある。東京株式市場は円高という新たな逆風下での企業業績の耐性が試される局面を迎え、米国株式市場もAI投資への過剰期待の修正とインフレ懸念を内包しながらの展開が続く。市場参加者は今後、為替介入の波及効果の検証にとどまらず、米国の雇用統計や主要企業の決算動向を冷徹に分析し、新たな市場の均衡点を見極める慎重な投資スタンスを維持することが求められる。 ⸻ ★note:https://note.com/woven_planet #為替介入 #円高 #日経平均 #米国株 #FOMC #雇用統計
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