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投資家 | 金融ライター
米ハイテク株下落とエヌビディアの資金循環懸念、東京市場は物価指標控え様子見
⸻ ◆NY株式市場はインフレ指標を控え続落 11日の米国株式市場は、主要指数が続落する展開となった。中東情勢の安定化に向けた合意実現に対する懐疑的な見方が強まったことに加え、主要銘柄への売りが相場全体を圧迫した。S&P総合500種株価指数とナスダック総合指数の下落を主導したのは、2.1%安となったアマゾン・ドット・コムと、3.8%安となったアルファベットである。宇宙開発企業スペースXも約4%下落した。一方で、好調な四半期決算を背景に先週最高値を更新したS&P500では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.2対1の比率で上回った。市場の関心は、12日発表の7月の米消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)に集中している。FRBのウォーシュ議長が金融政策のガイダンス縮小を目指すなか、これらの指標は今後の政策の道筋を見極める上で極めて重要視されている。積極的な売買は見送られ、米取引所の合算出来高は直近20営業日平均を下回る150億株にとどまった。 ◆エヌビディアのAI資金調達構想と循環的ファイナンスへの懸念 ハイテク株の動向で特に市場の警戒を集めたのは半導体大手エヌビディアである。同社は10日、アポロ・グローバルなど金融大手6社と提携し、人工知能(AI)インフラ構築支援に向けた5000億ドル超の資金調達プラットフォームの設立を発表した。しかし、この枠組みがAI需要を人為的に創出する「循環的ファイナンス」に該当するとの懸念が再燃し、株価は下落、時価総額で24兆円超が失われた。ジェンスン・フアン最高経営責任者は、個別プロジェクトごとに最大1250億ドルにあたる残存価値を保証する選択肢を持つとしたうえで、金融機関が稼働率やキャッシュフローなどを独立して審査すると説明し、人為的需要との見方を強く否定した。半導体メーカーが残存価値を保証するベンダー・ファイナンス的な手法の拡大は、ハイテク産業における資金調達構造を変容させるとの分析が出ている。 ◆AIインフラの実需と金融セクターへの恩恵 エヌビディアの株価下落とは対照的に、提携先に名を連ねたオルタナティブ資産運用会社の株価は上昇した。アポロ・グローバルが6.2%高、ブラックストーンが約4%高となり、AIインフラを裏付けとした融資などを通じた収益機会の拡大が好感された。ゴールドマン・サックスもインフラ投資の資金調達を仲介する役割を担い、金融セクターがハイテク投資の資金供給源として構造的に組み込まれつつある。また、AI関連の実需については、サーバー大手のスーパー・マイクロ・コンピューターが2027会計年度通期の売上高見通しを市場予想を3割近く上回る650億から720億ドルと提示したほか、光関連部品のコヒレントも好調な見通しを示した。アマゾンやアルファベットなど大手ハイテク企業による巨額のインフラ投資が利益に転換する時期の見極めが、今後の市場における企業評価を左右する重要な論点となっている。 ◆為替相場は横ばい推移、中東情勢の緊迫化と原油高 ニューヨーク外国為替市場ではドルが主要通貨に対し横ばいで推移し、終盤の円相場は1ドル159円28銭となった。7月末の日米当局による協調介入後も円安基調は続いており、スコシアバンクのエリック・セオレ氏は良好なファンダメンタルズが示されるまで円下落が続くと分析する。一方、ラボバンクのジェーン・フォーリー氏は、7月CPIが弱ければドルが下落し、再介入への警戒感から160円台到達の可能性は低下すると指摘した。米国では7月の非農業部門雇用者数が予想外に減少し、金利先物市場が織り込む利上げ確率は58%から50%へ低下している。商品市場では、イランのレザイ事務局長がホルムズ海峡の封鎖継続を示唆したことで北海ブレント原油先物が上昇し、S&Pエネルギー株指数も1.1%上昇した。ベアードのロス・メイフィールド氏は、紛争の不確実性が原油に織り込まれているが世界経済への大きな逆風にはなっていないと述べている。 ◆東京市場は小動き、好決算銘柄と半導体関連株の選別 12日の東京株式市場は、前日の米国市場の下落や米インフレ指標の発表を控えた様子見姿勢から、全体的に小動きに終始した。日経平均株価は前営業日比69円96銭高の6万7040円18銭と小幅続伸して取引を終えた。一時174円14銭高から234円46銭安まで振れるなど値幅は408円60銭に達した。野村証券の秋山渉氏は、米国の資金循環懸念が東京市場の半導体関連株にも心理的な影を落としていると指摘する。しかし、キオクシアホールディングスなどのAI・半導体関連株の一部や、最高値を更新したリクルートホールディングス、レゾナックホールディングスといった好決算銘柄が下値を支えた。サンリオがさえない値動きとなる中、TOPIXは0.34%高の4114.41ポイントで前場を終え、東証プライム市場の売買代金は約4兆5481億円であった。東証33業種中、輸送用機器など25業種が上昇し、電気機器など8業種が下落した。 ●バリュエーションの高止まりとインフラ実現者への投資戦略 現在の株式市場は、バリュエーションの高止まりが強く意識される局面にある。S&P500の12カ月先予想株価収益率(PER)は22から23倍程度で推移している。さらに、景気循環調整後株価収益率(シラーPER)は2026年7月20日時点で40.64に達し、1871年以降の全期間平均である17.41を大きく上回るだけでなく、1999年12月に記録した過去最高値の44.19にも肉薄している。配当利回りが1%程度に低下するなか、市場の一部からは過去の調整局面と比較して株価水準の割高感を警戒する声が上がっている。こうした環境下においては、期待先行で買われた銘柄を避け、確固たる競争優位性を持つ企業を厳選する視点が不可欠である。AIの推論フェーズ移行に伴いテスト工程の重要性が増すアドバンテストや、先端半導体の供給網において代替不可能な地位を築くASMLホールディング、台湾積体電路製造(TSMC)など、AIインフラの「真の実現者」として構造的な追い風を受ける実力銘柄への選別投資が、今後の市場における有力な選択肢として位置付けられている。 ⸻ ★note:https://note.com/woven_planet #米国株 #エヌビディア #インフレ #為替 #日本株 #半導体
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