高配当株|銘柄分析【4452:花王】
〜連続増配の王者に陰り?本当に“守りの株”なのか〜
① セクターと特性
花王(4452)は、化学セクターに属し、日用品・トイレタリー業界における国内トップ企業です。主に「生活必需品」を提供することから、ディフェンシブ銘柄(景気に左右されにくい)として知られています。
株価のボラティリティは比較的低めで、過去には年金基金や機関投資家の安定保有株としても人気を集めました。一般家庭に広く浸透しているブランド力も強みです。
② 指標(PER、PBR、ROE)
* PER(株価収益率):約28倍
市場平均(東証プライム全体)と比べるとやや高め。割高感がある水準。
* PBR(純資産倍率):約3.3倍
同業平均(P&Gやユニ・チャームなど)は1.5〜3倍程度。ブランド力を織り込んだ評価とも見えますが、やや高評価すぎる印象。
* ROE(自己資本利益率):7%台
10%以上が優良の目安とされる中、直近はやや低下。以前は10%超の年も多く、収益性が落ちている可能性があります。
③ 会社概要・事業内容
花王は、「清潔・美・健康」に関わる製品群を主軸に展開しています。以下の4事業が中心です。
* ハイジーン&ファブリックケア(洗剤や柔軟剤)
* ビューティケア(化粧品・スキンケア)
* ライフケア(紙おむつなど)
* 化学品(産業向けの化学製品)
収益構成(2023年度)
* ハイジーン&ファブリックケア:約30%
* ビューティケア:約25%
* ケミカル:約20%
* ライフケア:約15%
* その他:約10%
同業他社との違い
ユニ・チャームがライフケアに特化し、資生堂が高価格帯化粧品に集中しているのに対し、花王は**“総合生活消費財メーカー”として幅広く展開**している点が特徴です。多角化が安定収益の源ですが、逆に一部の不調が業績全体に波及しやすい側面もあります。
④ 売上の推移
IRバンクの長期データを見ると、2000年以降、売上は緩やかに成長してきました。
* 2000年:約1兆円
* 2010年:約1.1兆円
* 2020年:約1.5兆円
* 2023年:約1.6兆円
コロナ禍で衛生用品の特需がありましたが、近年は円安による海外売上押し上げの影響も大きいです。国内市場の伸びは頭打ちの傾向にあり、今後の成長は海外事業の拡大次第とも言える状況です。
⑤ 利益面
経常利益の推移
* 2010年代半ばまでは右肩上がり
* 2019年をピークに減益傾向
* 原材料価格の高騰や円安コスト増が影響
2023年度はコスト増に価格転嫁が追いつかず、利益率が圧縮された年でした。
EPS(1株利益)の推移
* 長期的には増加傾向も、近年は減少
* 2023年度は100円台後半と低調
ROEの変化
* 2010年代は10〜12%を維持
* 直近は6〜8%台へ下落
収益性の悪化が顕著となっており、高評価のPERとのギャップに注意が必要です。
⑥ 財務面
現金等
* 手元資金は安定しており、自己資金での事業継続力が高い
自己資本比率
* 約60%と高水準
倒産リスクは低く、保守的な経営体質を示しています。
負債水準
* 有利子負債は少なく、財務は非常に健全です。
財務安全性という点では、全上場企業でもトップクラスの安定感があります。
⑦ 配当関連
連続増配年数:34年(日本最長クラス)
累進配当方針(減配しない)を掲げており、**「連続増配の象徴的存在」**です。
配当性向
* 2023年度:80%超
※利益減少のため、無理して増配している印象もあり
配当利回り
* 株価が高いため、実質利回りは2%台前半にとどまります
自社株買い
* 定期的に実施。株主還元意識は高いが、配当優先の傾向
配当政策
* 明言:「配当の安定的かつ持続的な増加」
* 減配リスクは非常に低いが、配当の原資となる利益が伴っていない現状には注意
⑧ 投資判断とリスク
花王は、**高配当株投資における「守りの王道銘柄」**とされてきましたが、現在はやや状況が変化しています。
ポジティブ要素
* 日本屈指の連続増配
* 高いブランド力と財務健全性
* 不況耐性のある事業構造
ネガティブ要素
* 成長鈍化(国内市場の限界)
* 原材料高と価格転嫁力の鈍さ
* ROE低下とPERの乖離
* 為替影響の大きさ
なお、重大な不祥事は過去に大きく報道された例は見られず、ガバナンス意識も高い企業です。
⑨所持 or 非所持 or 検討中
現在は非所持です。
以前は保有を検討したこともありましたが、近年の利益率の低下と実質利回りの低さを踏まえ、見送っています。
⑩買い時の考察
現在の株価水準(約6,000円前後)は、過去の推移から見てもやや割高の印象です。利回りも2%前半にとどまり、「高配当」としては物足りないと感じています。
以下の条件が揃えば投資対象として検討したいと考えています。
* 株価が5,000円台前半まで下落し、利回りが3%近くに接近
* EPSやROEが再度上昇トレンドに転じる
* 原材料コストが落ち着き、利益率改善の兆し
連続増配の安心感はありますが、「増配している=投資妙味がある」とは限らないことを改めて認識させてくれる銘柄です。
【総評】
日本最長の連続増配は確固たる業績・ブランド力の証。
近年は原材料高で利益圧迫&配当性向が高まって利益を再度伸ばし連続増配の維持ができるかが焦点ですね。
高配当株投資としては若干利回りの物足りなさを感じます。
業績の動向を注視しながら買い時を探っていきたい銘柄です。
最後まで読んで頂きありがとうございます😊
皆さんの資産運用の参考になれば幸いです
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※本記事は特定銘柄の購入を推奨するものではございません
※株式投資は元本割れのリスクがございます。投資判断はご自身のリクス許容度の範囲で、自己責任でお願いします
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