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明日から日銀の会合です。
金利がまた上がります。
政策金利は、日銀が日本の景気を見て、自分で考えて決めている。
多くの方はそう思っているはずです。
僕も、正直そう思っていました。
ところが今回の利上げを追いかけているうちに、「どうもそうではないな」と思うようになりました。
今日はその話をします。
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日銀は「ひとりで決めていい」わけではありません
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あまり知られていないかもしれませんが、日本銀行法という法律には、おもしろい書き方がしてあります。
まず「日銀が金利を決めるときの自主性は尊重されなければならない」。
政府が口を出してはいけない、ということですね。
ところがその次の条文に、こう書いてあるんです。
「政府とは、いつも連絡を密にして、よく話し合いなさい」。
ひとりで決めていい。でも、ひとりで決めるなよ。
矛盾しているように見えますが、これが日銀という組織の立ち位置なんですね。
で、今回です。
その「話し合い」の相手が、日本政府ではありませんでした。
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会った中身を発表したのは、日本ではなくアメリカでした
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8月の終わり、アメリカで開かれた国際会議に合わせて、ベッセント米財務長官と日銀の植田総裁が会談しました。
その中身が世に出たのは9月1日です。
発表したのは、日本ではなくアメリカのほうでした。
そこにはこう書いてあります。
「円が安すぎる。日本が思い切った手を打つことを、我々は強く支持する」。
同じ日、ベッセント長官は記者会見でも「日本に、お金をじゃぶじゃぶ出す政策はやめるべきだと伝えた」と話しています。
外交の場で、よその国の中央銀行に注文を付けること自体は、そこまで珍しくありません。
ところが、その中身を自分から世界に向けて発表するとなると、話は別です。
言ったことより、言ったと発表したことのほうが重いんですね。
日本側からは、何も出ていません。
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「今や私が胴元だ」
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そして9月8日、アメリカ国内のイベントで、ベッセント長官はこう言いました。
「私は、市場に流れていない情報を持っている。今や私が胴元だ」。
胴元というのは、賭け事の元締めのことです。
どっちが勝つかを、いちばん先に知っている人、と言い換えてもいいと思います。
アメリカの財務大臣が、日本の円と金利について「胴元は自分だ」と言っているわけです。
これ、言われた側の国の人間としては、なかなか複雑な気持ちになりますよね。
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なぜアメリカが、日本の金利を気にするのか
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ずいぶんなおせっかいに見えますが、理由ははっきりしています。
要するに、アメリカ自身が困るからなんですね。
アメリカは世界一の借金大国です。
国の借金は、この8月に40兆ドルを超えました。
円に直すと、だいたい6,000兆円。
利息を払うだけで年に150兆円近くかかっている計算になります。
日本の1年分の国家予算より大きいわけです。
この状態でいちばん困るのは、金利が上がることです。
借金が多い人ほど、金利が1%上がったときの痛みは大きい。
ここは大家さんなら、体でわかる話だと思います。
では、日本の金利とどう関係するのか。
ここだけ少しややこしいので、たとえ話にします。
日本で年1%でお金を借りて、そのお金でアメリカの国債を買うと、年5%もらえる。
何もしなくても、差し引き4%が手元に残る。
実際、いまの日本の短期の金利は1.0%、アメリカの10年国債は4.9%台ですから、ほぼこのままなんです。
うまい話ですよね。
だから世界中の投資家が、何年もこれをやってきました。
問題は、これをやめるときです。
やめるということは、買っていたアメリカ国債を売るということです。
世界中の人が一斉に売れば、アメリカの金利は跳ね上がります。
そうなると、アメリカの利息の支払いはもっと増えてしまう。
だからアメリカは、こう考えるわけです。
「日本の金利が安すぎるのが、そもそもの元凶だ。もう少し上げてくれ」と。
円安が困るという単純な話ではない、と僕は見ています。
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人に言われて始めたことは、自分ではやめられません
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さて、ここからが今日いちばん言いたいところです。
自分で「やせよう」と決めて始めたダイエットなら、つらくなったときに自分でやめられます。
ところが、人から「やせなさい」と言われて始めたダイエットは、つらくなってもやめられない。
「まだ足りません」と言われ続けるからです。
今回の利上げは、これとまったく同じ形をしています。
もちろん、日銀が「外から言われたので上げます」と口にすることは、この先も絶対にありません。
言えるはずがない。
だから僕らは、言葉ではなく形のほうを見るしかないんですね。
そして形で見ると、こうなります。
自分の判断で上げた金利なら、景気が悪くなったときに自分で止められる。
ところが外から求められて上げた金利は、止める理由を自分で作れない。
ここがいちばん怖いところだと僕は考えています。
もちろん、外圧だけで動いているわけではありません。
原油はまた100ドルを超えましたし、企業どうしがモノを売り買いするときの値段は、前の年より7.6%も上がっています。
物価が上がりすぎるリスクは、国内にきちんとあるわけです。
日銀には、日本の事情だけで説明できる理由がちゃんとある。
ただ、理由があることと、自分のペースで動けることは、別の話なんですね。
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「半年に1回」が、明日から「3か月に1回」になります
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今回いちばん大事な変化は、実は金利の高さではありません。
速さのほうです。
日銀は2024年3月にマイナス金利をやめてから、だいたい半年に1回のペースで金利を上げてきました。
ところが今回は、6月に上げたばかりでまた上げる。
3か月です。
この2年間で、いちばん短い間隔になります。
しかも市場は、その次を12月、そのまた次を来年の3月ごろと見ています。
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