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「国勢調査」という言葉は誰でも知っていると思いますが、これがどれだけ貴重なデータなのかを意識して見ている人は、意外と少ないと思います。
国勢調査は、5年に一度しか行なわれません。
始まったのは1920年(大正9年)で、2025年の今回が第22回です。
日本に住んでいるすべての人と世帯が対象で、外国人も含まれます。
人口の増減だけでなく、世帯の人数、持ち家か賃貸か、結婚しているかといった、暮らしの土台になる数字が、市区町村単位で分かります。
国自身も「最も重要な統計調査」と位置づけているデータなんですね。
次の調査は5年後の2030年で、結果が出るのはその翌年以降です。
つまり、今回の調査結果は、これから数年間の不動産投資の前提になるということです。
見逃す手はありませんよね。
その2025年の結果が、2026年9月29日に公表されました。
日本の人口は5年で約317万人減って、1億2,297万人。
ところが、世帯数は逆に約149万世帯も増えているんですね。
人口は減っているのに、家を必要とする「世帯」は増えている。
これ、大家にとってはかなり大事な話です。
理由は単純で、一つの世帯の人数が減っているからです。
1世帯あたりの人数は2.21人から2.10人に減り、いちばん多い世帯は一人暮らしの41.4%になりました。
さらに先日、国立社会保障・人口問題研究所が公表した出生動向基本調査では、18〜34歳の独身の人のうち「一生結婚するつもりはない」と答えた人が男性24.0%、女性21.5%。
前回(2021年)の17.3%、14.6%から増えて、初めて2割を超えました。
そこで今日は、この二つの数字から、これからの不動産投資を考えてみたいと思います。
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人口は減っても、住まいの需要は「世帯」で決まります
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国勢調査の中身を見ていくと、日経が報じた賃貸の数字が目を引きます。
民間の賃貸住宅に住む世帯は30.9%で、1970年以降で初めて3割を超えました。
持ち家率は60.7%に下がっています。
東京23区に限ると、民間賃貸は48.3%。
つまり、「人口が減るから不動産投資は終わり」という話にはならないわけです。
住まいを必要とするのは「人」ではなく「世帯」で、その世帯は増え続けている。
しかも、その増えた世帯が持ち家ではなく賃貸に流れているんですね。
ただし、ここで喜んで終わりにしてはいけません。
世帯が増えているのは、主に一人暮らしが増えているからです。
ここから先は、どんな一人暮らしなのかを見る必要があります。
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結婚の手前で、「住まい」がつまずいています
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同じ出生動向基本調査で、「1年以内に結婚するとしたら、何が障害になるか」を聞くと、上位に挙がるのは「結婚資金」と「結婚生活のための住居」です。
日経の記事によると、資金面が1位、住居が2位で、男性では住居を障害に挙げる人が増えているそうです。
都心の家賃もマンション価格も上がり、二人で住める広さの部屋を借りようとすると手が届かない。
郊外に出れば通勤が長くなる。
住まいの値段が、結婚という人生の選択そのものを押し下げ始めているということです。
もちろん、「一生結婚しない」と答えた人の約4割は「考えが変わる可能性がある」とも答えています。
結婚したくないというより、「今の条件では無理」と感じている人が相当いるのだと、僕は見ています。
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一人暮らしの「二つの山」を見分ける
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国勢調査をもう少し読むと、面白いことが分かります。
一人暮らしで一番多いのは25〜34歳の男性で約238万人、次が75〜84歳の女性で約225万人です。
一人暮らしと一口に言っても、「結婚するつもりのない若い人」と「パートナーに先立たれた高齢の人」という、まったく違う二つの山があるわけです。
ここで大家として押さえておきたいのが、「単身世帯が増えるのだから、単身向けアパートは安泰」とは言えないという点です。
木造の単身向けは昔から供給が多く、客付けのライバルだらけ。
しかも単身者は入れ替わりが早く、退去のたびに広告料と原状回復費が出ていきます。
ところが、結婚しない人は、結婚を機に出ていきません。
気に入った部屋なら長く住んでくれる、身軽さを選んだ入居者でもあるのです。
僕は以前のブログで、独身でマイホームを買うことには賛成できないと書きましたが、そういう人こそ、賃貸の安定したお客さんになり得ると思います。
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これからの不動産投資、3つの戦略
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では、この変化を前に、大家は何をすればいいのか。
僕は3つあると考えています。
■1つ目:「一人で長く暮らす部屋」をつくる
結婚までの仮住まいなら狭くても我慢してもらえましたが、一生の住まいとなれば話は別です。
収納、ネット環境、宅配ボックス、在宅ワークのできるスペース——家賃の上限を先に決めてから部屋を探す人に、「この家賃で、この暮らしができます」と説明できる部屋が選ばれると思います。
■2つ目:高齢の単身者を「断る前提」から外す
75〜84歳の一人暮らしの女性225万人は、これからますます大事なお客さんになります。
見守り・保険・保証の仕組みはかなり整ってきました。
新規の入居者は、審査と保証を通れば基本的に受け入れていった方がいいと思います。
■3つ目:エリアを「世帯数」で見る
人口が減る地域でも、世帯数が増えていれば賃貸需要は残ります。
逆に、人口も世帯数も減り始めた地域は、家賃を上げる以前に客付けが厳しくなります。
なので、家賃を上げるよりも長く住んでもらえるような施策を重点的に取り組んでいく方がいいと思います。
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まとめ
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若い人が結婚に興味を失ったのでも、家に興味を失ったのでもないと、僕は思います。
払える額を先に決めて、その中で暮らしを組み立てているだけなんですね。
業界が「取引が減る」と嘆く数字と、大家が「長く住んでくれる一人暮らしが増える」と読む数字は、同じものです。
どちらの側に立って読むかで、やることが正反対になります。
まずは、ご自分の物件がある市区町村の、この5年間の人口と世帯数の増減を調べてみてください。
増えているのか、減っているのか。
それによって、これからの5年の戦略が変わってくるはずです。
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