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僕が「売れる戸建賃貸」を開発したのは、2005年のことです。
700万円台から建てられる戸建賃貸で、そのノウハウを「利回り20%をたたき出す戸建賃貸運用法」という本にまとめたところ、ありがたいことに「戸建賃貸ブーム」と呼ばれるほどの反響をいただきました。
あれから20年。ついに、戸建賃貸だけを集めたJ-REITが上場することになりました。
2026年10月20日、東京証券取引所がKDX Kolet(コレット)投資法人の上場を承認しました。
スポンサーはケネディクスで、上場予定日は11月25日です。
戸建住宅とタウンハウスに特化したJ-REITは、日本で初めてです。
戸建賃貸を長年すすめてきた身としては、正直、感慨深いものがあります。
そこで今日は、このREITは「買い」なのか、そして僕たち個人の戸建賃貸と何が違うのかを整理してみたいと思います。
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どんな物件を持っているのか
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まずは中身を見てみましょう。
上場時に取得する物件は2,225物件・2,281戸で、取得額の合計は約919億円です。
取得価格ベースで9割以上が、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県です。
平均面積は86.3平米、平均築年数はわずか2.7年と、ほぼ新築の戸建てばかりなんですね。
鑑定上のNOI利回り(家賃から経費を引いた純収益の利回り)は平均5.1%です。
そして入居者の約38%が法人契約、つまり会社の社宅として借りられています。
ここから1戸あたりを計算してみると、取得価格は約4,000万円。
平均賃料は坪7,763円なので、86平米の家ならおよそ月20万円です。
これ、僕らがイメージする戸建賃貸とはかなり違いますよね。
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個人の戸建賃貸とは、まったく別の商品です
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■1つ目の違い:価格帯と狙っている入居者
以前のブログで「35年間年金支払い vs 戸建賃貸1戸」という記事を書いたとき、500万円で仕入れた戸建てを月7万円で貸せば表面利回りは約16.8%、という試算をしました。
一方、Koletは1戸約4,000万円で月20万円ですから、表面利回りにすると6%程度です。
同じ「戸建賃貸」という名前でも、
・郊外や地方の手ごろな家を、住居費を抑えたいファミリーに貸す
・首都圏の新築を、転勤族や高所得のファミリーに社宅として貸す
狙っている層がまったく違うわけです。
■2つ目の違い:利回りの作り方
個人の戸建賃貸は、安く仕入れて、DIYや自主管理で手間をかけることで高い利回りを作ります。
一方、REITは手間をかけない代わりに、借入で規模を作ります。
上場時の有利子負債比率は46.1%(想定)です。
しかも借入はすべて変動金利だと報じられています。
日銀の利上げが続く局面では、ここが分配金を圧迫する要因になるわけです。
■3つ目の違い:ハンドルを自分で握れるかどうか
個人の投資家なら、家賃を上げるタイミングも、売るタイミングも、リフォームの中身も自分で決められます。
一方で、REITの投資家はそれを運用会社に任せる立場です。
先日のブログで書いたとおり、J-REITは法律上「箱」のような存在で、割安になっても自力では動きにくい構造なんですね。
手間がかからない分、ハンドルは握れない。
ここは良し悪しではなく、性格の違いです。
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では、買いなのか
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結論を言うと、今の時点では「買い」とも「見送り」とも言えません。
肝心の分配金利回りが、まだ公表されていないからです。
11月9日に仮条件(価格の範囲)が決まり、ブックビルディングは11月10日から13日までです。
ただ、判断の物差しは今から持っておけます。
いまJ-REITは、ほぼ全銘柄がNAV倍率1倍割れです。
平均分配金利回りは5.5%台で推移しています。
既存の銘柄が中身より2割ほど安く買える市場に、新しいREITが出てくるわけですから、新規上場の価格もそれなりに魅力的でなければ買い手は集まりません。
つまり、見るべきは既存の住宅系REITと比べて分配金利回りが見劣りしないかどうかです。
そして、長期金利が3%台にある中で、変動金利の借入をどう管理していくのかです。
この2点だと僕は見ています。
もちろん、戸建賃貸という新しい資産に少額から分散投資できるのは、REITならではの魅力です。
新築で設備も新しく、当面は大きな修繕もかかりにくいでしょう。
ただ、「IPOだから」「日本初だから」という理由だけで飛びつくのはやめた方がいいと思います。
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大家にとって、これは「競合」か「追い風」か
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では、僕ら個人の大家にとって、このニュースは何を意味するのか。
僕は追い風だと見ています。
なぜなら、プロの機関投資家が「戸建賃貸は足りていない」とお墨付きを出したのと同じだからです。
会社側の推計では、戸建賃貸の潜在需要は約125万世帯あるのに、実際のストックは約23.7万戸しかありません。
会社の推計なので多少割り引いて見る必要はありますが、需要の5分の1程度しか供給されていない計算になります。
首都圏の賃貸住宅のうち、70平米以上の広さがあるものは1割程度しかない、というデータもあります。
ケネディクスはこの戸建賃貸ブランド「Kolet」を、マンションの賃貸・購入、戸建ての購入に続く「第4の住まいの選択肢」として育てると言っています。
「戸建てに住みたいけれど、買うのはまだ早い」という人が、借りるという選択肢を当たり前に持つようになれば、戸建賃貸の市場全体の裾野が広がるわけです。
一方、競合になるかというと、価格帯がまったく違うので、郊外や地方の築古戸建てと入居者を奪い合うことは当面ないでしょう。
ただし、首都圏で新築の戸建賃貸を建てている大家さんは別です。
設備や管理の水準で比べられるようになることは、覚悟しておいた方がいいと思います。
20年前、戸建賃貸はアパートやマンションに比べれば、まだまだ脇役の存在でした。
それがいま、900億円規模のREITになって上場します。
戸建賃貸の需要は確かにある、という手応えが、ようやくプロの数字で裏付けられた気がしています。
REITを買うにしても、自分で1戸持つにしても、まずは自分の住む街で戸建賃貸がどれくらい募集されているか、ポータルサイトで一度のぞいてみてください。
きっと、思っていたより少ないはずです。
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