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この1〜2年、修繕の見積書を見るたびにため息が出ます。
以前のブログでも書きましたが、コロナ前の見積書はもう参考になりません。
体感的に修繕費は以前の1.5倍くらいになっているからです。
そんな中、総務省が9月の消費者物価指数を発表しました。
生鮮食品を除く総合で、前年同月比2.1%。
2%台に戻るのは9か月ぶりで、年単位で見れば2022年から4年連続で2%を超えています。
日銀は明日からの決定会合(2026年10月29日・30日)で、「物価目標の2%に到達した」と判断するかどうかを議論する見通しです。
ところが、同じ統計の中を見ていくと、ひとつだけ取り残されている数字があります。
それが家賃です。
そこで今日は、物価が上がっているのに家賃だけがなぜ追いつかないのか、そしてそれが大家にとって何を意味するのかを整理してみます。
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外壁塗装は7.5%、家賃は0.8%
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まずは数字を見てみましょう。
いずれも9月の全国CPIの前年同月比です。
・生鮮食品とエネルギーを除く総合:+2.4%。
・外壁塗装費:+7.5%。
・住宅の設備修繕・維持:+4.5%。
・家賃全体:+0.6%。そのうち民営家賃:+0.8%。
わかりますね。
僕ら大家が払う側の修繕費は7.5%上がっているのに、受け取る側の家賃は0.8%しか上がっていないわけです。
もう少し細かく見ると、民営家賃のうち非木造(マンションなど)は+1.0%、木造は+0.2%。木造はほぼ横ばいです。
これは僕の見立てですが、木造アパートは個人の大家さんが持っていることが多いです。
そのため、値上げを言い出せずにいる人が多いのか、もしくは家賃の値上げを切り出してもなかなか上げられない現状があるのではないかと思っています。
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家賃が追いつかない3つの理由
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では、なぜ家賃だけが置いていかれるのか。
そもそも家賃は、景気に比べて遅効性があるものです。
景気がよくなって物価が上がっても、家賃が動き出すのはずっとあとになる。
逆に、景気が悪くなっても、家賃はすぐには下がりません。
今回の数字は、まさにその「遅れ」が表に出ているわけです。
では、なぜ遅れるのか。
理由は大きく3つあります。
■①家賃は「契約」で決まる値段だから
スーパーの食品は、相場に合わせて明日にでも値札を貼り替えられますが、家賃は基本的に2年に1度の更新のときにしか動きません。
しかも普通借家契約では、入居者が値上げに応じなければ、最終的には調停や裁判で決着をつけるしかない。
数千円のためにそこまでやる大家さんはほとんどいませんから、結果として据え置かれるわけです。
■②統計の家賃は「いま住んでいる人の家賃」の平均だから
これは意外と知られていないことですが、CPIの家賃は、何年も前に契約した部屋も含めた全体の平均です。
一方で、新しく募集に出る部屋の家賃はすでに上がっています。
アットホームの調査では、9月の東京23区のシングル向けアパートの募集家賃が17か月連続で過去最高を更新しました。
つまり、新しく貸す家賃と、いま貸している家賃のあいだに差が開いているということです。
■③大家の側が言い出していないから
SUUMOの入居者調査では、家賃の値上げをお願いされた人は17.2%でした。
裏を返せば、8割以上の人は何も言われていないわけです。
値上げを「特別なこと」と思っている大家さんが、まだまだ多いのだと思います。
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追いつかない分は、手残りから消えています
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このようなお話をすると「家賃が安定しているのは、入居者にとっていいことでは」と言われますが、大家の側から見るとそう単純ではありません。
例えば、家賃収入が年1,000万円のアパートで、修繕費に年100万円かけているとします。
家賃が0.8%上がれば収入は年8万円増えますが、修繕費が7.5%上がれば支出は年7万5,000円増える。
たとえ家賃を上げられたとしても、ほぼそのまま相殺されてしまうんですね。
ここへさらに金利が乗ってくるわけです。
つまり、家賃が物価に追いついていない状態は、それだけで大家の手残りが目減りしている状態なのです。
少しずつでも家賃を上げていかないと、厳しい状況になるのは目に見えています。
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「遅れている分」は、伸びしろでもあります
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見方を変えれば、「追いついていない」ということは、まだ上げる余地が残っているということでもあります。
今の入居者さんが退去して、次の入居者さんで値上げすることを待つのではなく、更新のタイミングで相場との差を少しずつ縮めていく努力をする。
もっと言えば、更新を待たずとも「毎年1,000円ずつ上げていく」といったことを考えてもいいと思います。
そのほうが入居者にとっても、いきなり大きく上がるより受け入れやすいはずです。
そして、新しい入居者さんとの契約は、必ず定期借家契約で行なうべきです。
そうすれば、2年後の家賃改定がしやすくなりますからね。
もちろん、相場以上に上げろという話ではありません。
値上げをお願いする代わりに、プロのお掃除サービスを提供したり、古くなったエアコンを交換したりするなど、入居者にとってのメリットをセットで示すと受け入れられやすくなると思います。
普通借家のままでも、相場の数字を見せ、丁寧に話せば応じてもらえるケースは少なくありません。
日銀が「物価2%に到達した」と認めるとしたら、それは家賃を上げる理由を、世の中が公式に認めたということでもあります。
まずは、この1年で更新を迎える部屋をリストにして、いまの家賃と、同じ条件の部屋の募集家賃を並べてみてください。
その差が、あなたの物件の伸びしろになります。
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