待ち遠しかった秋の訪れから一気に冬の寒気となり、例年より早い流行が伝えられているのがインフルエンザである。昨年から使用可能となった「針を刺さない」ワクチンについての質問をしばしば受ける。
これは左右両鼻の粘膜にワクチン含有液0.1㎖を直接注入するもで、2003年米国での使用を皮切りに30か国以上で使用されている。日本は昨秋から使用可能となった。
ただし、対象は2歳以上 19歳未満の小児で、残念ながら成人は対象外となる。針を怖がり嫌がるお子さんやその親御さんには朗報で、痛くないのが大きな利点だが、実はワクチン自体の組成も異なる。注射のワクチンはウイルスの一部を抗原として利用した不活化ワクチンであるのに対して、本ワクチンは生ワクチン、ウイルス自体を弱毒化したものである。そのため効果や注意点にも違いがある。通常のワクチンの効果は重症化の予防とされるが、本ワクチンは血液中だけではなく粘膜にも免疫グロブリン(IgA)が作られるため、感染予防効果もあり、28.8%の罹患リスク低減効果が示されている。特に2~7歳で予防効果が高く、効果の持続期間も約1年と長い。また、13歳未満の子どもは注射ワクチンだと2回接種が必要なのに対し、本剤は1回接種で済む。
注意点としては、直接、弱毒化ウイルスを投与するため実際の感染と同様の鼻炎、咽頭痛、頭痛などの症状が生じることがある。稀ながら接種者から飛沫や接触で周囲への感染の報告もある。また、一般的に生ワクチンは接種不可とされている妊婦への投与や喘息や免疫の低下する基礎疾患をもつ者は原則禁忌となっている。
費用は通常のワクチンより高く設定されており、8000~9000円としている医療機関が多いようだ。ワクチンの費用補助制度を導入している自治体もあるが、本ワクチンを補助の対象とするかどうかは自治体によって異なるので事前確認が必要となる。
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(定期的に寄稿している原稿の要約・改変版です。)