【機能性表示食品】
外来患者さんから受ける質問でいつも困惑するのが、「○○という健康食品は効果があるのでしょうか?」という類のものである。医師なら患者が耳にする健康食品は知識を持っていて当然という前提にたった質問である。実際には国の承認を受けた薬でさえ専門外の薬は処方の経験はもちろん、見たことも聞いたこともないというものも少なくない。ましてや健康食品に至っては、よほどその領域に興味のある医師でないと知識はもちろん、認識すら薄いというのが実情である。
昨今、話題となっている血中コレステロール値の低下作用があるという「機能性表示食品」は、その効果を国が審査したわけでもなく、企業が自らの責任で機能を表示しているものである。私も「言われてみるとスーパーのレジ近くに多数並んでいたのを見た気がする。」程度の認識であった。
薬の場合、国が認可するまでには3段階の臨床試験を経て、厳密な審査を受ける。最終的には多数の患者さんを本物の薬と偽物の薬を内服してもらう2つのグループに分けて比較して、その効果と安全性を確認する。安全性にかかわる小さな問題でも新たな情報があると、毎回、連絡が来て確認したというサインを求められるなど多大な労力が費やされている。試験でそれなりの結果が得られても、認可されないということも少なくない。
それに比べると比較的容易にその「機能」をうたうことが可能で「食品」という位置づけで消費者に安心を取り付けている枠組みのようにも見える。過去に減量に効果があるとうたったアマメシバという健康食品で、呼吸細気管支炎という肺を痛める事例を経験したことがある。食品で腎臓・肝臓に影響があるのは、広く認知されているが、呼吸器に影響が生じうることもあるというのは一般の方は殆ど認識がないと思う。
マスコミでは摂取にあたっては「医師に相談するように」というコメントが述べられることが多いが、あまり積極的に推奨する医師が少ないのは上記のような薬剤とは大きな違いがあると認識しているからだ。
私自身、冒頭のような質問には「それについてはあまり情報をもたない」と答え、「毎日、継続して摂取するものにはより慎重な検討が必要ですよ」と付け加えることが多い。
#機能性表示食品 #副作用 #臨床試験
(定期的に寄稿している原稿の要約・改変版です。)