【良質の睡眠は健康の基本】(写真:札幌の朝焼け)
「ぐっすり」の語呂合わせで先月9月3日は「睡眠の日」、前後1週間は「健康睡眠週間」とされ啓蒙活動が繰り広げられた。近年、睡眠と健康についての知見は深まり、重要性の認識は高まる一方だ。
日本人の平均睡眠時間は2020年の調査で6時間27分、OECD加盟国の平均睡眠時間8時間25分と比べ極端に短い。推奨される最低睡眠時間7時間超は全体の40%に留まる。睡眠に問題があると糖尿病、高血圧、肥満などの生活習慣病はもちろん、鬱などの精神疾患、感染症やがん、認知症の発症リスクも高まることが分かっている。
コロナ禍では肥満や睡眠時無呼吸症候群も感染リスクが高いとされ、心配する相談も多かった。これらは複雑に関係しあっており、睡眠の質が悪いと食欲亢進に関係するグレリンという消化管から作られるホルモンの制御に支障をきたし肥満になりやすい。肥満になると腹部の脂肪が呼吸を制限して肺の予備力が低下して、肺炎が重症化した時の余力が少なくなる。また、内臓脂肪が多いと炎症が生じやすくなることも知られている。肥満があると睡眠時無呼吸症候群を生じやすく、そのことがさらに睡眠の質を低下させる。
さすがに新型コロナウイルスでの実験はないが、一般的に睡眠が短いと感冒に罹患しやすくなるとされる。健常人にライノウイルスという感冒の原因ウイルスを鼻粘膜に投与して、感冒症状が生じるかをみる実験がある。結果は睡眠時間7時間以上の人と比べて5時間未満の人は4.5倍も感冒に罹患しやすいという結果であった。
近年、新系統の薬も増えて、気軽に睡眠導入剤を希望する患者さんも増えたが、薬に頼る前に基本は睡眠環境を整えることである。
朝起床後に朝日を浴びる、平日と休日の睡眠時間の差を小さくして同じ時間に起きる、夕方以降はカフェインの摂取を控える、寝る90分前に入浴して体温が下がる頃に床にはいる、寝る前にはPC・スマホなどの機器を見つめない、日中の適度な運動をするなどである。
多くの日本人の生活習慣は基本的な注意点に反する方向に向かっているように見受けられるのが気がかりである。
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(定期的に寄稿している原稿の要約・改変版です。)