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日米の薬価差 と 「ドラッグ・ロス」
【日米の薬価差 と 「ドラッグ・ロス」】    本年5月、米大統領は薬価引き下げの大統領令に署名した。これは米国の薬価を先進国の中で最も低い水準に引き下げることを命ずるものだ。諸外国は創薬開発コストを米国に負担させ、その便益に“ただ乗り”しているとの主張に基づくものだ。  確かに同じ薬剤でも日本は米国に比して薬価は低く設定されている。本庶先生のノーベル賞受賞で有名ながん免疫療法薬は、同じ100mgでも日本13万円、米国は49万円と大きな開きがある。日本でも当初は72万円と高額であったが、段階的な薬価引き下げにより10年で約80%以上削減された。日本の薬価は国民皆保険制度を支えるために基準価格を国が定め、定期的な改定の度に数%程度引き下げられていく。その結果、製薬業が自由に薬価を決められる米国の薬価は英国の2.4倍、OECD平均の2.8倍、日本の3.5倍と開きがあり、日本が「最も薬価が低い国」となっている。 そのため、海外製薬業界から見ると日本は利益が薄い市場で魅力が乏しいと判断され、海外の新薬が入りにくい現象、いわゆる「ドラッグ・ロス」といわれるが問題となっている。 薬の作用や副作用の発現には人種差があることもあり、他国の臨床試験データをそのまま持ち込んで承認というわけにはいかず、小規模でも独自のデータが求められる。日本製薬工業協会によると、23年時点で欧米では承認されているが国内未承認の薬が143品目あり、そのうち6割にあたる86品目は日本での開発自体が未着手とされる。また、欧米では治験最終段階の新薬631品目の71%は日本での開発が始まっていないという。臨床試験には多大な費用と時間、労力を要し、将来的な薬価低減の厳しい日本は採算が合わないという経営判断をとられるわけだ。さらなるドラッグ・ロス拡大を防ぐには、薬価政策の見直しや全世界規模での治験段階からの参加するなど英知を絞ることが求められる。 #薬価 #ドラッグ・ロス #医療経済 (定期的に寄稿している原稿の要約・改変版です。)
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