【道路陥没事故と疾患の進行の相同性】
何とも痛ましい事故で一刻も早い救出を願ってやまないが、その作業は困難を極めている。
埼玉県八潮市の道路の陥没事故。その対応に病気の進展と治療との相同性を見た。
最初に見えるのはちょっとしたサイン。通行時に道路が不安定になり上下動する。実は深部では大変な変化の予兆が始まっている。下水管の破損から周囲の土砂の流出が始まりらしい。一度崩落すると、その回復は困難で、救助作業中に別の場所も崩落し、新たな穴は元の穴と連結し、大きな穴となる。対応には周囲を切り崩し問題の部位を含めて広い範囲に対処することになる。
喫煙による肺障害では肺が壊れて嚢胞という袋になり、進行すると肺気腫と呼ばれる状態になる。初期には全く自覚はなく、胸部X線でも変化を指摘するのは難しい。CTを撮影して初めて直径1~2cmの小さな嚢胞(のうほう:肺が壊れた袋)がみつかる。自覚がないので喫煙を続けると他にも小さな嚢胞が形成され、近くにある嚢胞同士が連結し、サイズを増していく。そこにインフルエンザや細菌などによる感染が加わると、一気に悪化して肺炎を併発することもある。壊れた部分は肺として機能せず、酸素の取り込みが上手くいかず呼吸不全に陥る。ときには大きくなった嚢胞は破れて空気が漏れ出し、肺がつぶれて気胸という状態になる。いずれも症状が出るのは突然で、その時になり、はじめてことの重大さに気づくということが多い。その背景、原因は密かに進行し、ことが表面化して対峙するのは長年をかけて進んだ難題である。
早期に根本原因を見出し、対策を打つことの難しさ。今、現在が困っていなければ、ついつい地道な点検や整備は後回しになりがちだ。
気胸に陥った肺を膨らませる手術や呼吸不全に陥った患者さんを人工呼吸器で生命を支える対処が医療と認識されがちだ。しかし、真に有効なのは初期の嚢胞を見出し、早期に手を打つこと、大切なのは地道な保守管理、早期の問題個所発見と対応というのも全く同様だ。
#道路陥没 #肺気腫 #早期発見
(定期的に寄稿している原稿の要約・改変版です。)