散歩で坂道を歩くと記憶力がアップするかもしれない!?
・「ただの散歩じゃ足りないのかな…」と感じていませんか?
運動は苦手だけど、健康のために「とりあえず歩いている」──そんな方も多いのではないでしょうか。
実際、まったく動かないよりは、散歩でも大きな効果があります。
その散歩に「ほんの少しの工夫」を加えるだけで、記憶力や集中力までアップするとしたらどうでしょう?
・坂道を歩くと、脳が元気になるかもしれない!
大阪体育大学が行った興味深い研究があります。
ラットを使って、「坂道のある散歩」と「平坦な道の散歩」が脳にどう影響するかを調べたのです。
実験では、ラットたちを以下のグループに分けて散歩させました:
- 平坦な道を30分歩くグループ
- 平坦な道を90分歩くグループ
- 坂道を30分歩くグループ
- 坂道を90分歩くグループ
(1分間で13mの速度)
その結果、90分間坂道を歩いたラットの脳内では、「BDNF(脳由来神経栄養因子)」という物質が増えていたのです。
・BDNFってなに?簡単に言うと「脳を成長させる物質」
BDNFは脳の成長や記憶に関わる重要な物質です。
これが増えると、記憶力が向上したり、集中力が上がったりすることが分かっています。逆に、BDNFが減ると、認知機能が落ちたり、アルツハイマーのリスクが高まったりします。
この研究では、BDNFの増加に関わるもうひとつの変化が確認されました。
それは、乳酸の増加です。
・「乳酸=疲労物質」ではない
「乳酸=疲れの元」と思われていましたが、現在では、乳酸は体内で再利用される立派なエネルギー源だと分かっています。
坂道を歩くことで血液中と脳内の乳酸が増え、それが脳の栄養として使われて、BDNFの分泌が促される可能性があるのです。
・坂道の多い街に住む人は、記憶力が高いかも?
日本には、坂道の多い街がたくさんあります。
たとえば、小樽市、函館市、横須賀市、熱海市、尾道市、神戸市、長崎市など。
こうした場所に住んでいる人は、自然と坂道を歩く機会が多いはず。
もしかすると、知らないうちに脳が鍛えられているかもしれませんね。
今回の研究は人間ではなくラットを使った実験です。
そのため、人間にも同じ効果があるとは言えません。
しかし、効果がないとも言い切れません。
もし、散歩で余裕があるなら、坂道を歩いてもいいかもしれません。
・せっかく散歩するなら、坂道を選ぼう!
散歩は、健康にもメンタルにも、プラスのとても良い習慣です。
その散歩に坂道を選ぶだけで、記憶力や学習力までアップする可能性もあります。
今後の散歩、少しだけルートを変えませんか?
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参考文献
Low-speed uphill exercise increases lactate and brain-derived neurotrophic factor in brain regions for memory and learning