中国人民銀行、仮想通貨・ステーブルコイン規制を再強化
【日付・ソース】
・会議開催:2025年11月28日
・報道:仮想通貨情報(2025年12月1日 09:15)
1. 今回のポイント(要約)
中国人民銀行(PBoC)が、仮想通貨取引・投機の再拡大を受けて、関係当局に「違法な仮想通貨関連金融活動の厳格な取締り」を改めて要請。
仮想通貨は「法定通貨と同等の法的地位はなく、市場で通貨として使用すべきではない」とあらためて強調。
仮想通貨関連ビジネスは違法な金融活動に該当すると明示。
ステーブルコインもマネロンや資金移動リスクの観点から強く警戒し、規制強化の対象に。
デジタル人民元との競合や、米ドル建てステーブルコインが人民元国際化の障害になるとの懸念も背景。
2. 会議の概要と参加機関
主催:
・中国人民銀行(PBoC)
参加機関:
・公安部
・中国サイバースペース管理局
・中央金融委員会
・最高人民法院
・最高人民検察院
・中国証券監督管理委員会(証監会)
・国家外為管理局
・その他関係当局
人民銀行が要請した内容:
・当局間の協力体制強化
・規制政策および法的根拠の整備・改善
・監視能力の強化
・違法行為の厳格な取締り
3. 仮想通貨に対する立場の再確認
法的位置付け:
・仮想通貨は法定通貨と同等の法的地位を持たない
・市場で「通貨」として使用すべきではないし、使用できないと明言
活動の扱い:
・仮想通貨関連の事業活動=違法な金融活動と位置付け
背景認識:
・最近、複数要因により仮想通貨投機が再び活発化
・その結果、リスク管理・防止に新たな局面と課題が生じていると指摘
4. 中国における仮想通貨規制の現状
2021年以降の基本方針:
・仮想通貨の「全面禁止」政策を継続
・取引・マイニングともに厳格に取締り
実態とのギャップ:
・中央政府レベルでは公式に禁止継続
・一方で、一部地方では黙認が存在するとの見方
・VPN等を利用し、規制を迂回して取引を続ける投資家の存在が報告
マイニングの「水面下での復活」:
・ロイター報道:ビットコインマイニングが中国で復活し、世界シェア約14%、世界3位に返り咲いた可能性
5. ステーブルコインへの警戒と規制強化
リスク認識:
・現状のステーブルコインは、
- 顧客本人確認(KYC)
- マネーロンダリング対策(AML)
の要件を十分に満たせていないと指摘
・マネロン、資金調達詐欺、違法な海外資金移動などに使われるリスクが高いと警戒
潘功勝総裁の発言(10月末):
・ステーブルコインを「世界的な金融安定への脅威」と位置付け
・海外発行のステーブルコインが、一部新興国・途上国の通貨主権を損なっていると批判
具体的な規制の動き:
・中国政府は、アント・グループなどテック大手による香港でのステーブルコイン発行計画を中止させたと報じられる
6. デジタル人民元との関係・政策意図
デジタル人民元との競合懸念:
・民間運営のステーブルコインが、政府主導のデジタル人民元と競合することを当局は懸念
・特に米ドル建てステーブルコインは、
- 人民元の国際的普及
- 人民元建て決済インフラの構築
の上で障害になり得ると認識
政策の狙い(整理):
・(1) 国内金融システムの安定確保(投機抑制・マネロン防止)
・(2) 通貨主権・資本規制の維持
・(3) デジタル人民元の普及を優先し、民間ステーブルコインの影響力を抑制
・(4) 米ドル基軸・ドル建てステーブルコインへの依存度低下を図る長期戦略
7. 投資家・市場への含意(メモ用)
中国国内:
・公式スタンスは「全面禁止+水面下の取締り強化」で一貫
・今後も、取引所・マイニング・ステーブルコイン関連ビジネスへの取締り強化が続く可能性が高い
国際的なクリプト市場への示唆:
・中国発の需要/ハッシュレートは「禁止と実需」の間で揺れる構図が継続
・ステーブルコイン規制強化は、
- 規制アービトラージ(国・地域間の規制差)
- オフショア市場の拡大
につながる可能性も
中長期テーマ:
・「国家主導のCBDC(デジタル人民元)」 vs 「民間ステーブルコイン(特にドル建て)」
・この対立軸の中で、中国は自国通貨・金融システムの保護を最優先する姿勢を再確認した形