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日経2020.2.17記事より 生保、超長期債へシフト 新規制視野 リスク抑制策 生命保険会社が投資先を外債から国内の超長期債にシフトしている。新型肺炎の感染拡大などに伴う世界経済の下振れ懸念から金利が低下しているためで、足元の外債の売り越し幅は過去最高水準に達している。もっとも、低金利という事情は国内の超長期債も変わらない。生保の国内回帰の背後には、2025年にも始まる新たな規制の存在がありそうだ。 生保各社はこれまで、少しでも高い利回りを求めて外債投資を膨らませてきた。だが、ここにきて異変が起きている。 財務省によると2019年12月の生保の外債売越額は4511億円となり、15年3月(5669億円)以来、約5年ぶりの大きさとなった。前後の19年11月と20年1月の3カ月間でみた売越額は1兆円を超え、現在の集計方法になった05年以降で最高の売越額を記録した。では生保マネーはどこに向かっているのか。 動向を読み解くうえで重要な変化が迫っている。新たな規制だ。金融庁は保険会社の資産と負債を時価評価し、リスクをより適切に反映させる新たな規制を25年にも導入する方針だ。単純化すると、契約者に保険金の支払いを約束している期間と債券などの運用期間をできるだけあわせることが求められる。国内生保は保険契約の平均的な期間に比べて運用資産の期間が短いとされる。 契約者への支払いである負債と、運用する資産の期間をそろえて金利の急変動リスクをおさえるためには、国内の超長期債が有力な投資先になる。ある大手生保の幹部は「新規制の導入に向けて、資本の積み増しや運用資産の長期化の動きは強まっていく」と話す。 19年には保険監督者国際機構(IAIS)の年次総会で、グローバル規模の保険会社への資本規制導入も各国が準備を始めることになった。規制の導入は25年とまだ先だが、「リスクをより厳格に管理するためには早期に取り組む必要がある」という。すでに備えが始まっている。 こうした動きを反映して、生保・損保会社は償還までの期間が10年を超える国内の超長期債を19年秋以降、毎月4000億円以上のペースで買い越している。岡三証券の鈴木誠氏によると、19年度の買越額は前年比で2割ほど増える見通しだ。世界的な金利低下で投資妙味が薄れているのも一因だが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊氏は「生保が新規制への対応に本格的に取り組み始めた」と指摘する。 17日の国内債券市場で、20年債の金利は前週末比0.015%低い0.240%まで低下した。30年債利回りも同0.015%低い0.370%になった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留氏は「年度末に向けて、20年債で0.1%台、30年債で0.2%台までの低下がありうる」とみる。 超長期金利の低下は日銀にとっても悩みの種だ。黒田東彦総裁は「超長期の金利はもう少し上がってもおかしくない」と述べ、過度な低下を繰り返しけん制している。生保や年金の運用が苦しくなれば、国民の消費意欲や物価にも悪影響を与えるためだ。ただ日銀の思いとは裏腹にいくつもの壁が立ちはだかる。その中でも新規制は、持続的に金利上昇を阻む伏兵になりそうだ。
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