【エーザイ、アルツハイマー病の新薬候補「レカネマブ」の承認申請を開始!】[医療情報]
エーザイとバイオジェン・インクは、本日(9月28日)、早期アルツハイマー病(早期 AD)治療薬の有力候補である、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体「レカネマブ」(開発品コード:BAN2401)について、米国食品医薬品局(FDA)に対し承認申請プロセスを開始したと発表しました。今年6月にFDAに承認されたAD治療薬「アデュカヌマブ」もエーザイとバイオジェンの共同開発でしたが、それに続く次の新薬候補です。本日の市場では好感されているようです。
今回の生物製剤ライセンス申請の段階的申請は、主に、「レカネマブ」の臨床第Ⅱb 相試験(201 コア試験)の結果(2021年4月にAlzheimer's Research & Therapy誌に発表)を受け実行されました。なおこの薬剤は2021 年 6 月にFDAから「ブレイクスルーセラピー」の指定を受けています。(「ブレイクスルーセラピー」は重篤なあるいは命にかかわる疾患に関する薬剤の開発および審査の迅速化を目的とした FDA の制度です)
【解説】
「レカネマブ」は、バイオアークティック社(スウェーデン)とエーザイの共同研究によって得られた、可溶性のアミロイドβ(Aβ)凝集体に対するヒト化モノクローナル抗体です。「レカネマブ」は、AD を惹起させる因子の一つと考えられているAβ凝集体に選択的に結合して、これを無毒化し脳内から除去することで AD の病態進行を抑制するとされています。
早期AD を対象とした「レカネマブ」の大規模臨床第Ⅱ相試験(201 試験)においては、18 カ月投与後の解析の結果において、脳内 Aβ蓄積量の減少(p<0.0001)と ADCOMSによる臨床症状の悪化抑制(p<0.05)を示しました。(なお、12 カ月投与時における主要評価項目は達成していません)
「レカネマブ」は現在、早期AD を対象に臨床第Ⅲ相試験(Clarity AD)が進行中です。すでに2021 年 3月に 1,795 人の被験者登録を完了しており、この結果はレカネマブの臨床的有用性の検証試験としてFDAに評価されることが合意されています。
【経緯】
ちなみに、先行してもたついているアデュヘルムは、バイオジェンが2007年から開発進め、エーザイは2017年から参画したにすぎません。しかし、レカネマブは2007年からスウェーデンのスタートアップ企業から開発販売権を取得し、育てた秘蔵っ子なのです。いわば本命はこっちなのです。
【今後の市場見通し】
英国の調査会社エバリュエートによれば、2026年にはアルツハイマー治療薬の世界市場は198億ドル(2020年の約16倍!)で、年間売上は、アデュヘルム62億ドル、ドナネマブ50億ドル、レカネバブ12億ドルになるという推計があるようです。どれもブロックバスター級ですね。私は「うーん、そんなうまくいくかな?」って疑心暗鬼の眼で見ていますけどね。
【おまけ】その他開発中のAD薬
ドナネマブ(リリー社)
ベプラネマブ(UCB社)
T-817MA(富士フィルム)
BPN14770(塩野義)
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