【天才の遺伝子とユダヤ人】
#サイエンス #金融
世界の超富裕層の35%がユダヤ人と言われている。ごく一般的なイメージで言えば「ベニスの商人」の金貸しシャイロックだろうか?何れにせよユダヤ人と金融、知的エリートとの関連性は切り離せないだろう。ではそれらは実際に何処から来ているのかをDNAの観点から検証みようと思う。
致命的な遺伝病は劣性遺伝の可能性が高く、その病が稀であればある程、血縁が近ければ近い程、子に遺伝する。これは中学で習う「優勢の法則」の通りだが、その中に「天才の遺伝子」が存在する、と言ったら皆さんはどう思われるだろうか?
通常、生存に不利であり自然淘汰される為、発現が難しい劣性遺伝子の中に普通では考えられない能力を秘めた遺伝子が含まれる事がある。
これを強制的に発動させたモノをインブリードと呼ぶ。つまり近親交配により「良質な劣性遺伝子」を揃えて発現させる事であり競走馬などに多く利用されているが劣性遺伝病リスクの上昇により病弱になり易く諸刃の剣であるのは言うまでもない。
◆馬で起こる事は当然、人でも起こる
2014年に行われた完全ゲノム解析により彼らの遺伝的な独立性が明らかになった。
研究チームによれば現代のアシュケナジム(東欧系ユダヤ人)集団が今から25~32世代前の約600~800年前に「ボトルネック」(集団内個体数の激減)を経験していた事を特定した。
これは14世紀半ばのペスト流行あるいは十字軍による東欧ユダヤ人共同体への大量虐殺(ホロコースト)に因るものかも知れない。何が原因にせよ、このボトルネックによって現代のアシュケナジム系の祖先となった創始者集団の個体数は250~420人、人種的に絶滅寸前まで減少したと言う。ボトルネックによって集団の数が減ると所謂「絶滅の渦」が起き「近親相姦」による低頻度かつ劣性の遺伝子変異が増幅される。
アシュケナジム系ユダヤ人に起こったのも正にこの様な事である。
事実として世界人口の0.2%でしかないアシュケナジム系ユダヤ人であるがノーベル賞の受賞者で言えばその22%を占めており、アメリカ在住のユダヤ人は、ほぼアシュケナジムで実際に知能指数が高いと言う統計が出ている。宗教、教育、文化的背景※もさる事ながら、それだけではこの数字の説明は付かない。
※良く知られるタルムード等、幼児からの金融教育。迫害により離散した親族間の資産を守る為、生み出された為替や貿易決済。中世ヨーロッパにおけるキリスト教圏で禁じられてきた高利貸し及び金融業への従事など
◆アシュケナジム系ユダヤ人の天才たち
物理学者:アルバート・アインシュタイン
物理学者:リチャード・P・ファインマン
哲学者:カール・マルクス
精神学者:ジークムント・フロイト
コンピュータの父:ジョン・フォン・ノイマン
マネジメントの父:ピーター・ドラッガー
化学兵器の父:フリッツ・ハーバー
原爆の父:ロバート・オッペンハイマー
水爆の父:エドワード・テラー
因みにGoogle創業者のラリー・ペイジやFacebook創業者のマーク・ザッカーバーグもアシュケナジムである。
話を劣性遺伝子疾患に戻そう。
アシュケナジム系ユダヤ人の遺伝子と知能については彼らのDNAに知的優位性の証拠が刻まれている。
被験者の知的優位性は下記のアシュケナジム系ユダヤ人に特徴的な遺伝疾患※が関係するどころか、そこに帰する事が判ったと言う。理論の根拠としてTay-Sachs/Niemann-Pick患者の脳細胞に神経伝達組織の顕著な増加※がみられたとするアルバート・アインシュタイン・カレッジ神経学博士スティーブン・ウォークリーの研究を挙げる。
※現在、脳神経研究学者によりスフィンゴ脂質がニューロンに蓄積される事で神経伝達が速くなると言う説が有力視されている
稀発な劣性遺伝病※であるテイ=サックス病、ゴーシェ病、ニーマン=ピック病がスフィンゴ脂質の過多によって引き起こされる病である事から「遺伝子進化の過程でユダヤ人の知性はある遺伝的疾患と中世ヨーロッパのゲットーで差別の結末との連携で発達した」と理論付けている。
※現在、アシュケナジム系ユダヤ人の女性が妊娠するとテイ=サックス病、カナヴァン病、ゴーシェ病、ファンコーニ貧血、嚢胞性線維症など36種類の劣性遺伝疾患のスクリーニングを受ける(テイ=サックス病とゴーシェ病の罹患率は一般的ヨーロッパ人の約100倍に達するとされる)
いくつかの顕著な遺伝的特徴が見られるが、これはユダヤ人全体ではなくアシュケナジムに限った特徴でありセファルディムには見られない。
参照元/Nature Portfolio〈非営利〉
https://www.nature.com/articles/ncomms5835